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中間子とβ崩壊

β崩壊の際にも「中間子を媒介として」転換が起こるという説を提唱

[research_yukawa][00740]

また、「湯川論文の概要」の「β崩壊の説明(=弱い相互作用)はニュートリノが関与」というのは、フェルミがすでに発表していた内容で、湯川は、β崩壊の際にも「中間子を媒介として」転換が起こるという説を提唱したのです。これは正しくはありませんでしたが、後に弱い相互作用はWボソンによって媒介されるという理解へと発展する基礎を与えたという意義があるのです。

T

軽い粒子が出てきますが U量子はありません

β崩壊のところは 私も中間子が関与と書きたかったのですが第1論文にはそれらしいところが書かれていないようなのです。どうみてもニュートリノと電子の相互作用としか思えないのです。軽い粒子が出てきますが U量子はありません。そのためあのような書き方になりました。第2論文以降で修正されるのでしょうか。

TY

2段階のプロセスで

 TYさんの疑問にお答えします。

 湯川は第1論文第4章で中間子が関与するβ崩壊説を述べているのです。

 そして、(17) 式のところで、次のように書いています。

 『…以下で述べる2段階のプロセスに対応する表現が得られる。
     ……      (17)
すなわち、「重い粒子」が固有関数u(r) の中性子状態から固有関数v(r)の陽子状態に落下すると同時に「軽い粒子」が負のエネルギーのニュートリノ状態φ_k(r) から正のエネルギーの電子状態ψ_k(r) に励起するのである。』

 つまり、(17) 式は、中性子状態から陽子状態への転化が先の章で提唱したように U 量子を媒介して起こり(第1段階)、その際に出た U 量子が、負エネルギーのニュートリノ状態にある「軽い粒子」にエネルギーを与え、反ニュートリノと電子の対を生じる(第2段階)ことを表わしている、というわけです。

T

フェルミの説は間違い、といいたい?

 Tさんどうもありがとうございました。難解で、奥が深いですね。だいぶ勘違いしていました。

 第4章の結論としては、「U量子を通じてニュートリノと電子にエネルギーを与えた状態の式を示した」ということになりますね。

 「ニュートリノと電子の相互作用が小さい」ということを最後に強調しているのがよくわかりません。「フェルミの説は間違いだ」といいたいのでしょうか。

TY

このように考えた方が統一性があるから

 TYさんのご質問にお答えします。

 「ここで述べたβ崩壊説に基づく式から、係数 g' が小さいことがいえる。これは、ニュートリノと電子の相互作用が小さい(β崩壊の寿命は大抵長い)ことと矛盾せず、また、ニュートリノが(当時)まだ直接検出できていないことから分かるように、その透過力が大きいこととも矛盾しない(相互作用が大きければ、物質通過中にすぐに電子に捕まって反応を起こし、容易に検出にかかる)。したがって、この説は妥当である」ということを強調したのだと思います。

 (19) 式の後のパラグラフの最初で、「この結果はフェルミの説の結果と同じである」と述べていますから、そうではありません。第4章の最初に書いてある主張通り、U 量子が介在するという扱いでもフェルミの結果が再現できるので、このように考えた方が統一性がある、ということで提唱したものと思われます。

T

Uの代わりにWボソンとして現実化している

Sです。

 フェルミの理論は、ニュートンの運動方程式や、マックスウェル方程式の様に、現在でも通用する理論で、当時知られていたベータ崩壊をことごとく説明するものだったと聞いています。つまり、フェルミの理論は大成功だったわけです。

 で、湯川は自分の理論からこのフェルミの理論を演繹することを企てました。フェルミ理論を自分の理論で説明しようと思ったわけで、フェルミ理論より自分の理論がより根源的なものであることを示そうとしたのです。それが4章です。その後、湯川粒子が発見されて、その性質が知れるようになると、湯川の試みは実験事実と合わなくなり、今日に残っていないようです。

 ただし、フェルミの理論をUで説明しようとした思想は、現在の標準理論では、Uの代わりにWボソンとして現実化していると言われることがあります。

S

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Tag: 中間子 β崩壊 ベータ崩壊 標準理論 Wボソン 歴史的意義


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Last-modified: 2008-04-16 (水) 09:06:31 (3325d)