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[関連ページ] 湯川のノーベル賞受賞のインパクト


祝ノーベル賞受賞

南部、益川、小林の3氏

 南部、益川、小林と素粒子関連の日本人が受賞というニュースを聞いて興奮していますが、三人共通のテーマとして「自発的な対称性の破れ」が挙げられていました。

 前回の例会で斎藤先生が「自発的な対称性の破れ」について解説されたのがグッドタイミングでした。といいますか今年の物理学賞にこのテーマが選ばれたのは、LHC完成記念だったかもと思ったりしています。

 これをいい機会に科学館の「自発的な対称性の破れ」が見える装置も脚光が浴びるかもと期待しております。

 閑話休題

 南部さんはアメリカ国籍ということもあり、アメリカのニュースじゃ "1 American, 2 Japanese Share Nobel Physics Prize" (N.Y.Times) なんていう報道がなされていますね。

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「自発的」がつくのは南部さんの仕事

 南部、益川、小林各氏のノーベル賞受賞は、本当に目出たいことです。

 Dさんは「三人共通のテーマとして『自発的な対称性の破れ』が挙げられて」いた旨書かれていましたが、共通なのは『対称性の破れ』で、『自発的な』がつくのは南部さんの仕事の方かと思います。

 アメリカのニュースで、"1 American" となっているのは、ノーベル財団の紹介自体が "Yoichiro Nambu, US citizen" となっていますから、仕方ありませんね。"Born 1921 in Tokyo, Japan. D. Sc. 1952 at University of Tokyo, Japan" と続いてはいますが。

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ノーベル財団の親切

 私もメールを書く前にノーベル財団のページで Broken Symmetries と題された解説をチラッと見てたのですが。  それと、もうひとつ Information for public と題された解説もあって、結構ノーベル財団も親切だなぁという印象です。

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湯川の影響

報道から

 テレビのニュースで、南部さんが湯川の影響で素粒子の研究を始めたと語っているところがありました。益川さんも坂田昌一に惹かれて素粒子論に進んだそうですが、坂田は湯川の高弟というべき人ですから、こちらにも湯川が間接的ながら影響しています。

 また、きょう(10月9日)の朝日新聞朝刊の「ノーベル物理学賞の3氏に聞く」という記事中では、九後太一氏が「益川先生たちは、当時,全然信用されていなかった場の理論の精密な論理を適用した。これは朝永流だ。さらに、クォークは6種類あるという大胆な予言をした。これは湯川先生の伝統を受け継ぐ」と、小林・益川理論についての、専門家らしい意見を述べています(asahi.comでの当該記事)。

 上記の記事中には、南部さんの言葉として「私が学生のころ、湯川秀樹博士が予言したパイ中間子が実際に発見され、博士の名は世界的に有名になった。それをきっかけに、私も物理学をやっていこうと思った」とあります(asahi.comでの当該記事)。しかし、南部さんは1920年生まれですから、パイ中間子(パイオン)が発見された1948年には28歳で、「学生のころ」ではありません。1937年にミュー中間子(ミューオン)が発見されて、湯川が世界的に有名になり始めたことに影響されたはずです。

 私が最近新聞記者から取材された経験によれば、新聞記者とは、自分の思い込みで記事中に被取材者が読めば冷や汗をかくような間違いをいくつも書く人種です。南部さんの話の上記の部分も記者が勝手に手を加えた間違いでしょう。

 なお、昨夕のNHK総合テレビ「テラス関西」で、Sさんが科学館の「対称性の自発的破れが見える装置」について説明されているのを拝見しました。子どもたちが「よく分かった」といっていましたね。

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対称性の自発的破れが見える装置

産経msnに

 新聞は購読してませんが、産経msnも取り上げていました。魚拓を貼っておきます。

  南部理論がわかる?! 大阪市立科学館「磁石のテーブル」

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毎日新聞にも

 10月10日付の毎日新聞朝刊の大阪地方版に南部さんの話題についての記事の後半部分に「磁石のテーブル」を見学に来られた南部さんの話題をS先生に取材された記事が掲載されていました。同じく、魚拓を貼っておきます。

  ノーベル賞:物理学賞・南部陽一郎さん、87歳ながらかくしゃく

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報道は第0近似

 ここんとこ私 S がノーベル賞をいただいたかのように取材が殺到していました。

 「南部さんの話の上記の部分も記者が勝手に手を加えた間違いでしょう。」

 方位磁石を紹介してくれた新聞にも、創作のようなことがちらほらあります。

 「子どもたちが『よく分かった』といっていましたね。」

 まだ見てないのですが、分かったのかなー? これは「ちゃんと解説聞いたら、テレビに映るで!」と言って、いつもなら絶対解説など聞かない子どもたちをその気にさせた時のものです。ナレーションの校正をやらされたのですが、難儀しました。

 しかし、私の場合、それぞれの報道は第0近似OKということで、ありがたく思っています。

S 081010

関連論文PDF

 2008年ノーベル物理学賞関連の下記の論文のPDFファイルが下記のリンクをクリックして無料で入手できます。ただし、一番上の論文(坂東昌子さんが南部論文中で最も重要と指摘されているもの)のみは、アブストラクト・ページへのリンクです。

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小林-益川・南部ノーベル賞の坂東さんの解説

 日本物理学会前会長、愛知大学名誉教授・坂東昌子さんの、「小林-益川・南部」のノーベル賞に絡んだ解説(ビデオつき)が

  http://ameblo.jp/kagaku/entry-10150624613.html

に掲載されています。

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2008年ノーベル賞講演

タイトルなど

 ノーベル財団のホームページをチェックしていたら、受賞記念講演の概要が載っていました。

  • 南部:Spontaneous Symmetry Breaking in Particle Physics: a Case of Cross Fertilization
  • 小林:CP Violation and Flavour Mixing
  • 益川:What Did CP Violation Tell Us?

 ちなみに、益川先生は日本語で講演をして、英訳がスクリーンに出るそうです。なお、南部さんは授賞式に出ないと発表されていたので、どうするのかと思っていたら、Giovanni Jona-Lasinio さんが替わりに発表されるとのことです。

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講演リンク

「後輩共著者に譲ったノーベル講演」

 昨日(2009年6月19日)の例会で、南部さんがノーベル賞授賞式に参加しなかったのは、表向きの理由とは異なり、共同受賞出来なかった共著者に輝かしい場を踏ませたいとの配慮という「いたずら」だったとの推測を書いている人がいるのをウエブサイトで見た旨の話をしましたが、具体的には、2009年1月6日付け日経ビジネス・オンラインページ、

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081226/181406/?P=3

で、「伊藤 乾の常識の源流探訪」欄「ノーベル講演を共著者に譲った南部博士」中の3ページ目途中からになります。

 最初のページ

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081226/181406/?P=1

へのアクセスは誰でも出来ますが、2ページ目以下を見るには、無料登録が必要です。

 著者の 伊藤 乾(いとう・けん)氏は作曲家・指揮者、ベルリン・ラジオムジーク・コレギウム芸術監督ですが、修士課程を東大大学院物理学専攻で修めた人です。

 以下に上記の記事の「後輩共著者に譲ったノーベル講演」の次の小見出し「南部博士は一休さん」中の一部を引用しておきます。

「あたまのイイ人」というのは、いろんなタイプがありますが、南部博士くらい「地あたまのイイ」物理学者は、そうそう居るものではありません。お茶目で、ユーモアに富み、でも行動としては、一歩自らが引き下がる、というだけで、すべての物理学者にハッピーな気持ちを取り戻させ、しかも直接インタビューなどすれば「いや、単に妻が体調が悪いもので…ね(笑)」と、決してあれこれは語らない。(奥様のご体調が優れないのは本当かもしれません。でも、楽しみにしていたかもしれないストックホルム行き、これを「今回はこういうイタズラにしない?」と奥様も納得させて、ヨナ教授に花を持たせた南部博士「一休さん」ばりのトンチ。これにはさすがに驚かされました。南部博士というのは、本当に大した人です。

 引用文中、「一歩自らが引き下がる、というだけで、すべての物理学者にハッピーな気持ちを取り戻させ」という記述は、今回の件については次のことを意味します。小林・益川理論に役立つ仕事をしていたN・カビボがノーベル賞を共同受賞出来なかったことにイタリアでは不満がありましたが、南部さんが共同研究者だったイタリアのジョヴァンニ・ヨナ=ラシニオ教授に晴れ舞台を踏ませたことで、その不満が解消され、ヨーロッパの物理学者たちがスイスでのLHC(大型ハドロン加速器)始動の年を喜ぶ気分も復活したのです。

T [01636] (090720)


Tag: 南部陽一郎 小林誠 益川敏英 坂田昌一 小林・益川理論 九後太一 対称性の破れ 対称性の自発的破れ 学問的影響 磁石のテーブル パイオン ミューオン ノーベル賞 2008年 湯川評 ヨナ=ラシニオ カビボ LHC


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  • 「後輩共著者に譲ったノーベル講演」の項を追加しました。 -- T 2009-07-20 (月) 11:53:52
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Last-modified: 2017-07-09 (日) 18:25:57 (39d)